クローバーのようなバイオマスマークや、『BP』というバイマスプラのマークを見かけることが増えてきました。
うっかりマイバックを忘れた時にもらうレジ袋にも、これらのマークが印字されています。
プラスチック資源循環促進法も施行され、SDGsの取り組みの一つとして、バイオマスプラスチックへの切り替えが行われるようになっています。
石油由来のプラスチックからバイオマスプラに換えることで、「持続可能な生産の確保」に貢献できるというわけです。
ところで、このバイオマスプラがなんとなく環境に良さそうなのはよく分かるのですが、いざ、「バイオマスプラとは何ですか?」と聞かれると、皆さんはどうお答えになりますか?
今回は、今さら人には聞きにくい、バイオマスプラの正体と歴史について取り上げたいと思います。
Contents
バイオマスとは?
バイオマスとは、バイオ(生物)とマス(量)が結びついた生態学の専門語です。
一般には「活用できる生物由来の再生可能な有機資源」と定義されています。
バイオマスは太陽の光と水と二酸化炭素があれば補給される動植物が由来の資源です。
太陽と水と二酸化炭素というエネルギー源があれば、この資源は補給されていくもので、その量は人間の消費を上回ります。
ですから「再生可能な」資源と言えます。
それに対して従来のプラスチックは、石油由来であり、人間がその資源を利用すれば減少していき、なかなか増えません。
そういう意味でも、枯渇性資源からバイオマスプラへの切り替えが急がれているのです。
バイオマスの分類
バイオマスをもう少し具体的に見ていきましょう。
バイオマスは、以下の四つに分類されています。
1. 廃棄物系バイオマス:食物廃棄物、家畜排泄物、建築廃材、古紙など
2. 未利用バイオマス:農作物非食用部、林地残材など
3. 資源穀物:エネルギー源や、製品の原料を目的として栽培される植物
4. 新作物:バイオマス生産に適した、海洋植物や新遺伝子組み換え植物
バイオマスプラスチックは、主にトウモロコシやサトウキビのデンプン、トウゴマのひまし油などから作られています。
サトウキビは砂糖を作る際に副生する廃糖蜜を使っていますし、ひまし油は非可食のものを利用しています。
こうした原料からバイオマスプラスチックとしてポリ乳酸(PLA)やバイオポリウレタンなどが製造されています。
バイオマスプラスチックのメリット
バイオマスプラスチックは、自然素材から作られているという大きな特徴があります。
いつか底をつく石油資源に依存していないので、安定した供給を期待することができます。
加えて、バイオマスはもともと、大気中の二酸化炭素を植物が光合成により固定したものなので、処分過程で焼却して二酸化炭素が発生しても、それは植物による吸収と資源活用のサイクルの一端である、と考えられています。
このサーマルリサイクルにより、実質的にはCO2増加には繋がらないとされています。
さらに、熱を加えて形成加工しリサイクルも可能です。
バイオマスプラスチックの中には、「生分解性」を持つものもあります。
バイオマスブラスチック・生分解性プラスチック―違いは何?
生分解とは、ブラスチックが粉々になって自然界に紛れ込むことではありません。
微生物の働きにより、分子レベルにまで分解し、最終的には二酸化炭素と水になって自然界へと循環していく性質のことです。
ですから、生分解性があるプラスチックは、原材料がなんであれ、自然界の微生物によって分解されます。
一方、バイオマスプラスチックは、原料が再生可能な有機資源のものを指します。
バイオマスプラスチックの中には、生分解性があるものもあれば、無いものもあります。
要するに、資源は何なのか?という観点からの分類のバイオマスプラと、最後に分解される性質があるのか?という観点から分類されている生分解性プラスチックでは、視点に大きな違いがあるということです。
しかしどちらも、CO2削減と、地球資源枯渇対策を目的に開発され、認証マークが制定されています。
バイオマスプラスチックの歴史
バイオマスプラスチックと聞くと、環境問題が注目されるようになってきた最近開発されたものというイメージがあるかもしれません。
バイオマスプラスチックの世界的に統一された定義はないようです。
しかし簡単に言うなら、ここまで取り上げてきたバイオマスを原料として作られるプラスチックということになります。
ブリタニカ百科事典によると「微生物がつくるプラスチック」で、1980年代からイギリスでの製品化が始まっています。
ところが、歴史をたどると、その誕生はもっと前なのです。
なんと1925年にフランスのパスツール研究所で、枯草菌の体内物質としての脂肪族ポリエステルが発見されています。
間もなく100年になる歴史を持つプラスチックだったとは。意外です。
バイオマスプラスチックのこれから
経済の発展と共に、プラスチックは私たちの暮らしに欠かせないものになりました。
しかし、プラスチックは便利さだけでなく、問題も引き起こしてきました。
そこで、使い捨てプラスチックを抑制する取り組みとして、EUでは2030年までの欧州市場のプラスチック梱包材を100%リサイクル可能なものにするなどの目標を掲げています。
日本においても、化石資源の代わりに再生可能な資源である「バイオマス」を活用しましょうという方針が打ち出されました。
そして日本は、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入するという目標を掲げました。
その背景には、日本は世界に誇れる焼却設備を保有しており、いわば”燃やす文化”があるということもあります。
日本の焼却炉は世界に比べて非常に温度が高音になるため、ほとんどのものを燃やせるのです。
ですから日本は、燃やす際のCO2を削減するバイオマスに力を入れることにしたと言えます。
バイオマスプラとは?まとめ
今後ますます利活用されるであろうバイオマスプラスチックは、再生可能な有機資源が原材料として使われるプラスチックです。
石油由来の従来プラスチックと比べて、カーボンニュートラルな製品として期待されています。
世界でバイオマスプラが製品化されたは1980年代からですが、今後日本では急ピッチで導入する方針です。
プラスチック資源循環促進法の対応策としてバイオマスプラスチックをご検討中の方は、是非パッケージアドバイザーまでご相談ください。