令和3年3月9日に、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が閣議決定されました。
それにより私たちの生活でプラスチックとの関わりは少しずつ減っているように感じます。
例えばコンビニエンスストアでホットコーヒーを買うと飲み口のある蓋が付いたコップで提供されますが、あくまでそれは熱いものがストローで飲めない為でした。
しかし最近では冷たい飲み物でも飲み口のある蓋が付いたコップで提供されるようになった為、プラスチックストローの使用が削減されています。
それに引き続き、無償で提供されていたプラスチックスプーンなどが有料になるのか?といったような議題も出ています。
更に、世界各国に続いて日本においても「2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す」という菅総理が宣言したことや、2022年4月から資源循環促進法が予定されていることで、消費者のエコへの意識はますます高まっているのです。
このコンテンツでは、プラスチック資源循環促進法がどのようなものなのか、また日本が目指す考え方やこれから飲食店が取り組むことができるエコについて、実際にテイクアウトやデリバリーで使えるエコ容器について取り上げます。
Contents
プラスチック資源循環促進法とは何ですか?
プラスチック資源循環促進法とは、2021年6月4日に国会で成立したもので、プラスチック廃棄物の排出を抑制し、海洋プラスチックごみ問題や気候変動問題などの解決を目標としている法律です。
つまり、ゴミとして捨てるプラスチックを減らし、リデュース、リユース、リサイクルその他の再生を促進することが主な目的です。
プラスチック資源循環促進法の名前にも含まれている通り、プラスチックをゴミとして捨てるのではなく再資源化することによって新たにプラスチック製品を作ることを減らすことが出来るのでプラスチックの削減に繋がるのです。
その法律に関わる事業者や、対象になるプラスチック製品など、プラスチック資源循環促進法についての詳細は是非こちらをご覧ください。
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資源循環の目的は何ですか?
前述した通り、ゴミとして捨てるプラスチックを減らし、リデュース、リユース、リサイクルその他の再生を促進するためには資源循環が重要になってきます。
資源循環の目的は、近年世界をずっと悩ませている地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素の削減です。
しかしどうして再資源化することが二酸化炭素の削減に繋がると言えるのでしょうか?
二酸化炭素は石油や石炭などの化石燃料を燃焼させると発生します。
そしてプラスチックの原料は化石燃料なので、使用済みのプラスチックを回収したのち再び資源として使用することによって、ゴミとして焼却するプラスチックを減らします。
それが二酸化炭素の排出量を減らすことにつながるからです。
そして、できるだけ多くのプラスチックを循環させるために、プラスチック製品の設計・製造の段階から、回収までの各段階での再資源化や3Rを総合的に推進するための施策が設けられています。
各段階の基本方針は下の表のようになっています。
制度 | 対象と内容 |
---|---|
プラスチック使用製品設計指針の策定 | 設計・製造:主務大臣が環境配慮設計に関する指針を策定し、指針に適合した製品を認定する。 認定製品を製造するための、設備への支援を行うともに、認定製品を国が率先して調達する |
使い捨てプラスチックの使用の合理化 | 使い捨てプラスチックの提供事業者:使い捨てプラスチックの排出抑制のための取り組むべき基準を示す。 努力義務を果たさない事業者への勧告、公表などの措置をする |
市町村による再商品化の促進 | 市町村:すでに機能しているプラスチック資源の分別収集のルートを利用した再商品化を可能にする。 |
製造・販売事業者等による自主回収の促進 | 製造・販売事業者:廃棄物処理法の業の許可がないとできなかったプラスチック廃棄物の収集運搬・再商品化を行えるよう、制度の新設をする |
排出事業者の排出抑制・再資源化の促進 | 排出事業者:排出抑制や再資源化等の取り組むべき判断基準を策定 |
循環するプラスチック
上の表を見て分かるように、プラスチック資源循環促進法は、プラスチックを使用するすべての製品の設計・製造の段階から回収までの全ての段階が関係しています。
テレビのニュース等で示されているプラスチック資源循環促進法に関する情報は、コンビニの使い捨てスプーン廃止などの営業者に関わるものが多く目に入りますが、実際はもっと多くのことが関係しています。
しかし、わたしたちが一番身近に感じるのはやはりスプーンやストローなどの使い捨てプラスチックがどの程度削減されるのかということではないでしょう。
プラスチック問題に対する取り組み
毎年世界中ではおよそ800万トンのプラスチックごみが海に流れ込んでいます。2050年までに海洋中のプラスチックゴミの量は魚を超えると予測されている程です。
海は世界の全ての国と繋がっています。
ですから海洋プラスチック問題は日本だけでなく、世界全体で取り組むべき課題になっているのです。
このように、プラスチック問題はとても大きな規模ですが、
国によってその問題に対してそれぞれ違う向き合い方をしています。
具体的に、海外と日本とではどのような違いがあるのでしょうか?
海外と日本の違い
主に海外では、プラスチック”自体”を削減する方向で取り組みが行われています。
例としてアメリカのカリフォルニア州やニューヨーク州を含む8州でのレジ袋廃止や、ワシントン州シアトルの飲食店でのプラスチック製のストローやスプーンなどの配布禁止等があります。
また中国では2025年以降にはホテルのアメニティの無料提供を中止するといったような取り組みも進められています。
日本人の特徴として”几帳面さ”が見られますが、それゆえの「プラスチックを洗って捨てる」というような行動は海外にとってあまり考えられないもののようです。
そのため、プラスチック自体を削減する、使用をしない方向に取り組みが進められています。
それに比べて日本では、「プラスチック資源循環促進法」のように、プラスチックの使用をゼロにするのではなく、3Rの観点でプラスチックを扱う取り組みがされています。
また、カーボンニュートラルのバイオマスプラスチックの使用も進められています。バイオマスプラスチックというのは動植物から生まれた、再生可能な有機資源を使っている為、地球にとても優しいのです。
無駄なものを出さず有効活用する。プラスチックの使用全てを無くすのではなく3Rを意識して地球や生活に優しいやり方で削減に取り組む。
それが日本の目指す考え方だと言えます。
これからの日本は資源の循環を目指す
「プラスチック資源循環促進法」は、使ったプラスチックを再び資源として使用できるよう回収してリサイクルすることを促すといった日本で成立した法案です。
ですが、現段階でも日本のプラスチックのリサイクル率は約85%以上だと言われています。
それなのになぜ今プラスチック資源循環が目標として挙がっているのでしょうか?
それは、日本国内のプラスチック廃棄物のうちの半分以上は、回収した後プラスチック製品にリサイクルされるのではなく、サーマルリサイクル(燃やして熱回収)されていることが理由です。
ですから日本ではプラスチックの多くが循環出来ていないのです。
なぜなら、サーマルリサイクルがプラスチック廃棄物を燃やした熱を利用しているとはいっても、燃焼させたプラスチック廃棄物を再使用することは不可能だからです。
また、燃やす以外のリサイクル方法として、廃棄物を原材料にし再利用する”マテリアルリサイクル”や、廃棄物を化学的な処理によって原料に戻してから再利用する”ケミカルリサイクル”があります。
ゴミとして回収出来ないプラスチックの対応
ゴミ袋、カップ、食品容器、文房具…
挙げ始めたらキリがないほど、プラスチックは生活のあらゆるところで使用されています。
普段都市部で生活していると目にすることがないかも知れませんが、農業や漁業などの方にとってもプラスチックはなくてはならないものです。
例えば、農業で使用されている「マルチング材」です。
マルチングとは、植えた植物の地表面を覆うことで、雑草の発生や水分の蒸発、病害虫の発生を防ぐことを意味します。
以前は主に藁や落ち葉などがその役目を果たしていましたが、現在は写真のようなビニールシートが利用されることが多いのです。
しかしマルチングは台風などの影響で剥がれて飛んで行ってしまうこともあります。どんなに飛ばないよう工夫をしたとしても自然には逆らえないのでこれは防ぎようがありません。
また、漁業で使用する漁網やロープなどをはじめとした漁具も、まだあまり社会的に認知されていない現状もあり、海洋プラスチック問題に影響を与えてしまっています。
このように再資源化することが難しいプラスチック製品は、生分解性プラスチックを使用することにより、環境への悪影響を減らしていく取り組みがすすめられています。
しかし生分解プラスチックについても、空気中や海洋でどの程度分解することが可能なのかなど、まだはっきりしていない点が多くあるのが現状です。
プラスチック削減の為に私たちが出来ること
今のところ、プラスチック資源循環促進法の取り組みとして、使い捨てのスプーン等を有料化することやプラスチック製品の素材を他のものに切り替えることが義務とされるのは大企業のみの見込みです。
ですが、使い捨てプラスチックの使用が実際に環境に影響を与えていることを考えると、努力目標にとどまっている中小企業や商店でも、出来る限り使い捨てのプラスチックを削減することに取り組むのはとても重要なことになります。
では、使い捨てプラスチックを削減するために具体的に私たちには何が出来るでしょうか?
①プラスチックカップは紙コップに変更する
コールドドリンクはプラスチックカップで提供される事が多いですが、それを紙コップに切り替えることがプラスチック削減に繋がります。
しかし通常の紙コップではなく両面PPラミネートの紙コップであることが重要です。
通常の紙コップは内側だけPPラミネートされていますが、コールドドリンクはコップ外側が結露によって弱くなるので両面PPラミネートされていなければ強度が下がってしまうからです。
② プラスチックリッドは紙製リッドに変更する
コンビニカフェやコーヒーショップで暖かい飲み物を頼むと、もちろん暖かいものはストローで飲めないリッドが付いてきますが、それをプラスチックから紙製に変更することもできます。
リッドを紙製にすることによって、飲み終わったらリッドを外さずにそのまま紙コップと一緒に燃えるごみとして捨てることが出来るので、プラスチックフリーになり、環境に100%配慮出来ます。
紙製リッドの中でも特にパルプモールドという紙を使用したものが多くあります。パルプモールドに関する詳しい情報は プラスチックに代わる最善なエコ素材 | パルプモールドとは? をご覧ください。
紙製のリッドというとすぐ水分でふにゃふにゃになってしまったり漏れやすいのでは?と感じるかと思いますが、篏合性があって漏れにくく、飲み口の自由な開け閉めやロックが出来るリッド等もあります。
③ カラトリーを木製やバイオマス製品に変更する
スーパーやコンビニでお弁当を買った時についてくる使い捨てのスプーンやフォークはほとんどがプラスチック製です。
プラスチック資源循環促進法が成立されたことによりコンビニなどのプラスチックスプーンが有料になるのではないか?というような予想もされましたが、売上への影響が懸念されるとして、ほとんどの企業は有料化を見送ることになりました。
その代わりに、プラスチックの使用量を抑えたカトラリーや植物由来の素材を30%程度混ぜたカトラリーを提供しているところがほとんどです。
このようなプラスチックの削減の他に、カトラリーを木製やバイオマス製品に変更するという方法もあります。
まとめ
この記事では、プラスチック資源循環促進法と、日本が目指すエコの方向性や、そのために私たちが実際に出来ることなどについて考察しました。
消費者のエコ意識も以前より高まり続けている為、エコ素材のニーズは更に高まっていきます。
取り組みだけに留まらず、プラスチックに代わる地球に優しい本当のエコ素材で消費者のニーズに合わせた商品を提供することで、企業への信頼や好感度も高まることでしょう。
デリシャスフードパッケージでは、紙コップやリッド、木製カトラリーなども扱っております。
エコな食品包装容器をお探しの方は、ご相談ください。