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オーブンで紙コップは使えますか?
今年の長い自粛期間中、自宅でお菓子作りをしたという方はとても多かったようです。
そのせいか、スーパーや小売店などではホットケーキの粉や強力粉といったお菓子作りの材料がしばらくの間、品切れ状態になるという事態にもなりました。
特に最近はお菓子用の型がなくても紙コップを利用したマフィンやシフォンケーキが手軽に作れるレシピがたくさんあるので、以前よりはお菓子作りに挑戦しやすくなったということもあるのかもしれないですね!
でもここで疑問!紙コップはその名の通り素材が紙なので、燃えてしまわないのでしょうか?
今考えてみれば心配になります。
このコンテンツでは、パッケージアドバイザーがその疑問に答えたいと思います。
オーブンで紙コップや紙皿は燃えますか?
紙は燃えやすいものの代表という印象がありますよね。
だからそんな心配が生じるのですが、意外や意外、紙は高温になっただけではすぐには燃えないのです。
紙の種類にもよりますが、火源がなくて自然発火する紙の温度は、新聞紙のような薄くて燃えやすい紙でも250℃でも燃えないのです。
薄手の紙でそうならば、厚手の紙ならばなおさらのことです。
厚手の紙の中には400℃を超えても火が付かない紙もあるほどなんです。
燃えにくいことは分かったのですが、紙コップや紙皿をオーブンで使用しても大丈夫なのでしょうか?!
その問題について考えてみたいと思います。
もしかして紙コップの外側は燃えなくても中が溶けるの?
紙コップや紙皿をオーブンに入れて使えるか否かを考える前に、なぜ紙コップに水を入れて漏れないのかという点を考えたいと思います。
紙コップや紙皿が、紙なのに液体を入れられる理由。
それは紙コップの内側に耐水性のポリエチレンフィルムを貼っているからなんです。
紙皿の場合、安いものはニスを塗っていたり、品質の良いものになると同じく耐水性のポリエチレンフィルムを貼っている紙皿もあります。
いずれにしても紙が水に触れる面を何らかの手段でコーティングしているわけです。
この耐水用のポリエチレンフィルムの耐熱温度がくせものです。
この耐水用のポリエチレンフィルムは耐熱温度が100℃~110℃なので、それ以上の温度になるとポリエチレンが溶け出てしまいます。
結局そのポリエチレンは体内に入っても吸収されず、そのまま体外に排出されるだけなので健康の害にはなりませんが、あまり気持ちの良いものではありませんよね。
もしかしたら体内に蓄積されていったら・・・と考えると、とっても嫌な気持ちになります。
また、ポリエチレンの耐水機能がなくなると紙は耐水性を失って柔らかくなり次第に水分が浸みてしまうのです。
ですから普通の紙コップや紙皿には「オーブンや電子レンジでの使用は避けてください」という注意書きがあるのです。
もし普通の紙コップでマフィンを作ったらどうなる?
内側にこの耐水用のポリエチレンフィルムが貼ってあり、それが高熱になると溶け出すので、紙コップや紙皿でお菓子を作ってオーブンで焼かないほうが良いのは分かりました。
しかしもしもですよ、もしも使ったらどうなるのかって気になりますよね。
オーブンで焼くお菓子は大抵バターなどのオイルが含まれています。
そして油が含まれている食品は高温になります。
油が高温になるというのは、熱したフライパンに油を入れて油煙が上がっているのを想像すればすぐに分かりますよね。
ではそのようなバターがたくさん含まれているマフィンを紙コップに入れてオーブンで焼いたらどうなるでしょうか。
紙コップの中はかなりの高温になり、耐水用のポリエチレンが溶けるのは当然ですが、油が浸み出した紙コップが熱で焦げたり、孔があくこともあります。
紙コップが焦げて煙が出るくらいならいいですが、最悪の場合紙コップが発火する可能性もあります。
つまりオーブンで紙コップや紙皿を使ってお菓子作りするのはとても危険なんです。
このような危険を冒して紙コップでケーキを焼くのは是非とも避けたいですね。
でもどうやったら気楽にお菓子作りを楽しめるのでしょうか。
心配になりますね。
でも安心してください!カワイイカップケーキを作るための紙容器があるんです。
燃えない紙容器ならオーブンで使ってもOK!
オーブンで使用できる紙容器に焼成容器というものがあります。
焼成容器はパンやケーキなどの生地をオーブンで高温に焼くことに対応しています。
この焼成容器を使って、今はグラタンやラザニアなどの料理を提供しているお店なども多々あります。
以前は焼成容器といえば金属や陶器の型しかありませんでしたが、今は焼きあがったらそのままプレゼントにも使える比較的安価な紙製の焼成容器があるのです。
しかも最近はプラスチック製(樹脂)でできたオーブンに入れることはできる容器などもあります。
昨今の科学の進歩は凄いですね。
紙製の容器に話題は戻りますが、紙製の焼成容器にはいろいろな種類があります。
通常の紙コップや紙皿には、耐水のためのポリエチレンラミネートやニスがコーティングされています。
それに対して、オーブンで使用できる紙容器は耐熱ラミネート加工がされていたり、紙そのものが耐熱耐油紙を使用しているので、オーブンの高温に耐えることができるのです。
焼成とはどういう意味ですか?
「焼成」とは、原料を高温で加熱して性質を変化させることを焼成と言います。
例えばケーキを焼成するとは、粉やバター卵などの材料を混ぜて高温で焼き上げることによって、生地の性質が変化してふっくらとして香りの良い食べ物になります。
これは、泡立てた卵の気泡が熱によってケーキの生地を膨らませ、なおかつ卵のたんぱく質が熱によって固まるのでふっくらした生地が出来上がるのです。
また、砂糖は熱することによってキャラメルのように色が変化するので、ケーキの表面が美味しそうな色になるのです。
そして焼成容器とは、その焼成をおこなう事ができる容器のことを焼成容器といいます。
このように、焼成という工程で使用できる型は、ある程度の時間、高温で加熱することに耐えられる容器でなければなりません。
紙製の焼成容器には、マフィンやカップケーキ型以外にも、耐熱ラミネートされたベーキングトレーや、耐熱耐油性の紙を使用したケーキ型、スチームオーブンにも耐えられる紙製のプリン型などがあります。
冷凍食品でよく見かけるグラタンやドリアなどの紙容器も焼成容器ですね。
また、紙の焼成容器以外に、耐熱性の高いプラスチック、C-PETでできた容器があります。
C-PETは温度変化に強いので、プリンのような焼いた後に冷やすお菓子にも使用されています。
まとめ
紙コップを使ったカップケーキはおしゃれで魅力的ですが、通常の紙コップの耐熱温度は100℃程度で、200℃を超えることもあるオーブンの使用には適していません。
ぜひ、オーブンでも安心して使える焼成容器を使って、安全にお菓子を作りを楽しみましょう。