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使い捨てプラスチックごみの増加
長引くコロナ禍により、家庭から出るプラスチックごみが増えています。
なぜなら、外食を控えて自炊する人、総菜や弁当で「中食」を摂る人が増えたからです。
2020年7月から始まったレジ袋の有料化によって、プラスチックごみ削減の重要性は社会に浸透しましたが、感染症対策のためにはプラスチックの多用もやむなし、という空気も感じられます。
しかし環境問題は待ってはくれません。
日本では2050年カーボンニュートラル宣言を行い、2050年までに二酸化炭素の排出量をプラスマイナスゼロにすることを目標に掲げています。
この目標を達成するためには、経済活動と日常生活のあらゆる分野で目標達成に向けて取り組まなければなりません。
日本政府が2022年4月の施行を目指す「プラスチック資源循環促進法」も、環境問題への取り組みの一つといえます。
「プラスチック資源循環促進法」では、削減すべき「特定プラスチック使用製品」12品目と、プラスチックの削減が特に必要な業種が指定されました。
プラスチック資源循環促進法は、一律で義務化になったレジ袋有料化と違い、事業者の自主性に任されている部分が多くあります。
とはいえ、削減が義務付けられた業者には、取り組みが不十分な場合は社名の公表などの罰則も定められています。そのため、計画的な削減が必要です。
この記事では、今回削減対象となった使い捨てプラスチック製品や、使い捨てプラスチック削減の具体策について考察したいと思います。
そして、使い捨てプラスチック製品を多く使用されている、飲食店経営者の方々のお役に立つ情報を取り上げます。
プラスチック資源循環促進法とは
プラスチック資源循環促進法は、プラスチック製品の設計・製造から回収までの各段階で再資源化を促進するという趣旨の法律です。
プラスチック資源循環促進法の目的は、主に地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の削減です。
プラスチック資源を循環させることがなぜ二酸化炭素の削減につながるのでしょうか?
プラスチックの資源はほとんどが石油です。その石油は炭素(C)と水素(H)からなる化合物が主成分です。
そのため、石油を使って作られたプラスチック製品をゴミとして燃焼させると、炭素は酸素と結びつき二酸化炭素を排出します。
使用済みのプラスチックを新たなプラスチックの資源として利用することによって循環させることは、焼却されるプラスチックが減ることになるので、二酸化炭素の削減につながるのです。
既存の自動車や家電のリサイクル法は、使用済み製品の回収や再資源化に焦点を当てていますが、プラスチック資源循環促進法では、製品の設計から回収までのライフサイクル全体が包含されているというところに違いがあります。
詳しくはプラスチック資源循環促進法で求められるエコとは?をご覧ください。
では、今回削減対象として指定された使い捨てプラスチック製品12品目について見ていきましょう。
削減対象となる「特定プラスチック使用製品」12品目
特定プラスチック使用製品とは、小売店や飲食店が消費者に無料で提供するプラスチック使用製品のことです。
業種ごとに削減対象となる12品目を一覧表にまとめました。
関係する業種 | 製品(12品目) |
---|---|
百貨店、スーパー、コンビニ、飲食店等 | フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、 ストロー |
ホテルなど | ヘアブラシ、くし、カミソリ、歯ブラシ、 シャワーキャップ |
クリーニング店など | ハンガー、衣類用カバー |
削減義務付けと対象となる事業者と多量提供事業者
プラスチック資源循環促進法における、使い捨てプラスチックの削減対象となる業種は、いずれもプラスチック使用製品を大量に提供してきました。
飲食店の中には配達飲食サービスも含まれるため、通販やデリバリーのみのお店も対象となります。
これらの業種の中で、プラスチック使用製品を前年度に年間5トン以上使用した事業者を「多量提供事業者」と定義し、削減が義務付けられます。
このため、事業者側の取組が著しく不十分な場合には、勧告・公表・命令の対象となります。
プラスチック使用製品の使用量が年5トン未満の中小事業者や輸入品は、自主的な対応に委ねるとしています。
このうち、当該年度の前年度において提供した特定プラスチック使用製品の量が5トン以上の事業者は、「多量提供事業者」に該当することになります。
使い捨てプラスチックの削減は具体的にどうする?
使い捨てプラスチックの削減に当たって、企業に求められている対策は「提供方法」と「提供製品」に分類されており、合わせて7つあります。
提供方法の工夫
有料化 | レジ袋と同様、特定プラスチック使用製品の使用を希望したお客様に有償で提供する。 |
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ポイント還元等 | 特定プラスチック使用製品の使用を辞退したお客様にポイントを付与する。 例えばセブンイレブンでは、スプーンやフォークを辞退したお客様に、電子マネーのポイントを付与する実証実験を行っている。 |
消費者の意思を確認 | 提供する特定プラスチック使用製品について消費者の意思を確認する。 |
リユースを促す | 提供する特定プラスチック使用製品について繰り返し使用を促す。 クリーニング店のハンガーなど、使用済みの特定プラスチック使用製品を回収し再利用する。 |
提供する製品の工夫
肉薄化、軽量化、原材料の種類を工夫 | プラスチックの使用量を減らした製品や、バイオマスプラスチックを一定量以上使用した製品、また紙製や竹製のストロー、木製のカトラリーを無償提供する。 例えばファミリーマートは、プラスチックの使用量を削減するために、持ち手部分に工夫をしたスプーンを一部の店舗で採用している。 |
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適切な寸法の製品を提供 | 商品又はサービスに応じた大きさの特定プラスチック使用製品を提供する。 |
リユース可能な製品の提供 | 繰り返し使用が可能な製品を提供する。 |
使い捨てプラスチックの削減-企業にとっての課題はコスト
使い捨てプラスチックの削減に当たり、コンビニエンスストアなどはスプーンやフォークが必要なお客様がほとんどなので、有料化は消費者からの反発が予想されます。
しかし無償で提供できる木製のスプーンやフォークに切り替えた場合は、従来のプラスチック製に比べてコストは約3倍になります。
バイオマスプラスチックの製品も、価格が下がってきたとはいえ、今までよりもコストがかかることは避けられません。
企業としては、この余分のコストを商品の価格に転嫁するかどうかが悩みどころです。
昨年以来のレジ袋有料化は義務のため、一律に実施されましたが、今回の削減取り組みの具体策は選択制です。
有料で提供すれば店側の負担は減りますが、競合する他社が代替品を無償提供している場合は不利になるため、判断が難しいと言えます。
しかし記録的豪雨や猛暑に対する危機感から、わたしたちの環境問題への意識や行動は以前に比べ確実に進んでいます。
ですから使い捨てプラスチックの削減に取り組んでいることを積極的にアピールしていくことは、お客さまからの信頼や共感を得ることにつながります。
左の写真は、リサイクル率の高い段ボール素材のランチボックスとウッドカトラリー、ウッドマドラーの使用例です。
ご興味ある方はデリシャスフードパッケージにご相談ください。
一気に削減するより段階的な削減を目指す
プラスチック資源循環促進法は、7つの対策から1つ以上の対策を講じることが求められています。
一度に削減するとコストがかかり、次に削減する選択肢が少なくってしまいます。
前年比で削減できていればよしとされているので、コストを勘案し、まずはできるところから手をつけましょう。
段階的にプラスチックの削減を目指すことが現実的です。
まとめ
この記事では、プラスチック資源循環促進法の施行に伴い、使い捨てプラスチックを削減する具体的な方法を考察しました。
消費者のエコ意識が高まっている今、事業者がプラスチック削減に努めるならば、消費者からの高評価と集客につながるでしょう。
ですから使い捨てプラスチックの削減は、法律による義務付けの対象ではない事業者も含め、全ての事業者に関係するといえます。
プラスチック資源循環促進法の施行に向けて、エコ素材や代替素材のプラスチック容器やカトラリーの需要は、ますます高まっています。
デリシャスフードパッケージでは、木製、紙製、またバイオマスプラスチックを使用した各種カトラリー・食品包装容器を取り揃えております。
ご関心のある飲食店経営者の方々は、是非デリシャスフードパッケージへご相談ください。
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