2021年3月に成立したプラスチック資源循環促進法により、使用済みのプラスチックの再資源化がより強化されることになりました。
使用済みのプラスチックはすでに多くの自治体で分別回収されていますが、回収されたプラスチックの多くは再資源化されず、焼却処分されているのが現状です。
とはいえ、PETという種類のプラスチックを使用したペットボトルは高い割合でリサイクルされています。
現在ペットボトルの回収率は90%を超えており、回収されたペットボトルのうち85%がリサイクルされています。
そして、回収したペットボトルを再生して、再商品化する技術の開発が進んでいます。
リサイクルPETの再商品化の一例として、繰り返し使用できる食器があります。
このコンテンツでは、複数あるプラスチックのリサイクル方法を、各々の現状と課題を併せてご説明したいと思います。そしてリサイクルPETを使用した食器をご紹介したいと思います。
Contents
プラスチックのリサイクルとは?
プラスチックのリサイクル方法は、以下の3種類に大別されます。
マテリアルリサイクル | 回収したプラスチックを原料に戻して再利用する方法です。処理費用は比較的安価で、環境への負荷も小さい方法です。しかしプラスチックの種類ごとに分別が必要になるため、消費者の協力が欠かせません。 |
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ケミカルリサイクル | 回収したプラスチックを化学反応させて、原料や燃料として利用する方法です。細かな分別は不要ですが、処理施設は複雑、かつ処理費用もかかるという難点があります。 |
サーマルリサイクル | 回収したプラスチックを焼却し、熱エネルギーとして発電などに利用する方法です。日本におけるプラスチックのリサイクル手法の半分以上を占めますが、焼却することで発生するCO2や、微量のダイオキシンなどの有害物質の処理という問題があります。 |
プラスチックのリサイクルの障害
日本のプラスチックのリサイクル率は高いですが、回収したプラスチックの半分以上はサーマルリサイクルされています。
サーマルリサイクルはリサイクルという名前がついてはいますが、焼却されたプラスチックはそれ以上利用できず循環しません。
プラスチックを焼却して終わらせずに循環させるには、マテリアルリサイクルや、ケミカルリサイクルをバランスよく組み合わせていく必要があります。
現在、最もリサイクルされているプラスチックはPETで、国内リサイクルの約80%を占めています。
PETボトル以外のPE・PP・PS は11~20%と、はるかに遅れています。
PETボトル以外のプラスチックリサイクルの障害として、まずプラスチックが単一材質ではないことが挙げられます。
PE一つを例にとっても数種類あり、それぞれの物理的性質には幅があるため、異なるものを混ぜて加工しようとすると性質は劣化してしまいますが、分離精製は現実的ではありません。
そして、プラスチックは高いエネルギーを持つ炭化水素資源であり、化石燃料に比べて硫黄などの不純物を含まない良質な燃料となります。
リサイクルの目的は、資源の有効利用や環境負荷の低減であることを考えると、洗浄に費用をかけて汚れたプラスチックを再利用するよりも、サーマルリサイクルするほうが合理的と日本では考えられてきた面もあるのです。
すべてのプラスチックを循環させることは難しいというのが現状です。
PET以外のプラスチックリサイクルの今後
プラスチック資源循環促進法では、あらゆるプラスチックを回収して再資源化することを目標としています。
そのためにPE・PP・PSのリサイクルも急がれています。
プラスチック資源循環促進法は、プラスチック製品のライフサイクルを包含した法律です。
それに則って、製品の設計・製造段階から単一材質で製造すること、使用後は分解してリサイクルしやすい構造にすることが求められることになります。
そして、これまでは「プラスチック」という大雑把なくくりで回収されていたプラスチック製品はPE・PP・PS等々、素材ごとの分別回収などが求められます。
さらに、品質の良い単一のプラスチック再生材を得るためには、プラスチックを種類別に選別する必要があります。
プラスチックの栓別にはコンベア式の光学識別装置などがあります。
専用の選別コンベアを稼働させるには、大きな工場敷地と設備投資が必要となるなど、リサイクルには様々な課題がありますが、これをクリアして、リサイクル率を高めていくことが目標です。
PETのリサイクルが進んでいるのはなぜ?
PETとは、石油から作られるポリエチレンテレフタレートと呼ばれる樹脂の頭文字をとったものです。
様々なプラスチックの中でもPETのリサイクルが顕著に進んでいる理由は以下のようなものが挙げられます。
- 日本のペットボトルは、無色透明で統一されていること。
- 分別収集率が高いこと。
- ペットボトルは、ボトル本体のみを単一のプラスチックとして回収しやすいこと。
- PETは、再生後に繊維という用途があること。
リサイクルPETの使い道
PETボトルはキャップやラベルを分別して、PET単一材質で回収できる貴重なプラスチックです。
様々なプラスチックが混ざっていなことは、PETのリサイクルを容易にしています。
また、自治体で回収するペットボトルの多くは、家庭から出るもので、洗浄されていることが多く良質です。
海外では着色されたボトルがリサイクルを困難にしていますが、日本のPETボトルは無色透明であることもリサイクをしやすくしているのです。
では、回収されたPETボトルはどのように循環しているのでしょうか?
マテリアルリサイクルによるPETボトルの再利用品には、ボトルやシート、繊維製品、文房具、各種成形品など多岐にわたっています。
最近では、リサイクルPETを使用したプラカップなども多くなってきました。
リサイクルPETを利用したプラカップは、三層構造の内側と外側にバージンPETを使用し、中間の層にリサイクルPETを25%使用している、環境配慮型プラスチックカップです。
また、食品用の使用済みPETボトルを、新たな食品用PETボトルに再利用するボトルtoボトルという取り組みも進んでいます。
ボトルtoボトルはPETの国内循環利用を進めるための有用な手段となる可能性があるため、様々な技術が開発されています。
では次に、リサイクルPETの利用品として注目されている食器についてご紹介します。
リサイクルPETを原料にした食器
この食器は、リサイクルにより回収されたペットボトルを洗浄・粉砕した原料で製造されています。
マグカップ1個につき約4本分のペットボトルがリサイクルされています。
ラインナップは皿、マグカップ、カトラリー、スープボウルなどがあります。
プラスチック製の食器は耐熱温度が低いものが多いですが、この食器は耐熱温度が100度で、暑いスープや飲み物を入れても安心です。
また、塗装を施していないので、温かい飲み物を入れたときにも塗装独特の臭いが出ません。
軽くて丈夫なのでアウトドアにもおすすめですが、電子レンジにも食器洗浄機にも対応しているので、普段の食事に使用してもいいですね。
まとめ
この記事では、プラスチック資源循環促進法の成立に伴って加速しているプラスチックのリサイクルの現状と課題について考察しました。
社会全体のエコ意識やプラスチックのリサイクルへの関心は、ますます高まっています。
リサイクル製品の使用に積極的に取り組む企業は、消費者からの高評価を得て集客力を高めることができるでしょう。
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